ヤコとYシャツとマサくん


それは勘だった。


どんな刃物よりも鋭い、女の勘。


あけすけに放たれた携帯と、湯船から聞こえてくる鼻歌と、立ち尽くすわたし。


ただメールが届いた。


それだけのこと。


それなのに…。


瞬時に湧き上がる、ここ最近のマサ君の言動。


なにかあれば「疲れた」。ご飯は「外ですませる」。交わりは朝の「行ってきます」のみ。


うん、よく働く旦那様。


でも女を、いやわたしを侮らないほうがいい。


一体、何年、君と一緒に居たと思う?


後ろめたいことがあると、右足の親指をクイクイっと動かす。


そりゃもうクイクイっとね。


この数日間で[6クイ]だ。


その度に、首根っこならぬ、足根っこを踏み潰してやろうかと思ったけれど、決定的証拠が必要。


でも必然的勇気も必須~♪


って、ラップみたくなったのには訳があって…。


「ヤコ…酔っとります‼」


欲求不満をお酒で解消する毎日。


さすがに軽めの3%だけど、3%も3缶で9%じゃね?


わたしは、甘いリンゴサワーを一気に飲み干し、パンドラの箱を開けた…。








< 5 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop