【完結】キスからはじまる恋。
「……よし」
オレはバレないように、アイツの後を付けた。
彩音たちが向かっているのは、恐らく備品管理室だ。
……なんでこんな所に?
彩音は図書委員だから、こんな所に来る理由がないはず。
なのに、なぜだ?
ドアがが閉まったのを確認して、ドアに聞き耳を立てる。
ーーーすると、少しだけ話し声が聞こえてきた。
「なぁ、佐倉ってさ、なんで本が好きなの?」
「本はあたしにとって、人生なの」
「人生?」
「うん。あたしが悩んだり、落ち込んだ時にね、おばあちゃんがいつも読んでくれた本があるんだけどね。……それを読んでもらうと、気持ちがすっと楽になって、また頑張ろうって思えるんだ」
「へぇ。素敵だね。人生かぁ」
「うん。だからあたし、本が大好きなの」
「そっかぁ」