【完結】キスからはじまる恋。
「なぁ彩音」
「……なに?」
「……おまえってさ、オレのこと、好きなの?」
なんとなく聞いてみたかった。
繋いだ手を放さないまま、オレはそう聞いた。
「……なんで、そんなこと聞くの?」
「いや、気になっただけ」
「……教えてあげない」
「はっ?」
「……今はまだ、ヒミツ」
「ヒミツ……?」
「……もういいでしょ。早く行こう。信号変わっちゃうよ?」
彩音が先に歩き出したため、オレは後を追う形で歩き出した。
彩音……おまえ、オレのこと、どう思ってる?
分からない。
彩音の気持ちが、オレにはまだ分からない。
「……彩音」
「きゃっ……ちょ、ちょっと……。いきなりなに?」
オレは彩音を後ろから抱きしめた。
道行く人が、みんなが見てるけど、オレにはそんなのどうだっていい。