【完結】キスからはじまる恋。
「……好きだ」
「っ……!?」
「……おまえのこと、絶対誰にも渡さない」
彩音を抱きしめる力を、少し強めた。
彩音はなんにも言わなかった。
「……ごめんね。今日は、帰る」
彩音はオレの腕を振り払い、そのまま走って行ってしまった。
「……彩音、なんで」
おまえ、なんで何も言わなかった……?
オレはてっきり、好きじゃないって言われるかと思っていた。
なのに……。
なんにも言わずに、はぐらかした?
「……好きだなんて、言わないほうがよかったのか?」
ーーー彩音を、困らせてしまったことに変わりはないし。
なんだか、オレひとりだけ好きなんだなって、感じた瞬間だった。
……好き、なんだけど。
オレひとりの片思いなのか……。