【完結】キスからはじまる恋。
Side大夢
斎藤がよく、図書室で参考書を借りていたのは前から知っていた。
だけどそれは、彩音の顔を見たいっていう、アイツの意思だって気がついたのは、彩音と付き合い始めてすぐくらいだった。
「…………」
スマホを見ながら、チラチラと隣に座る斎藤の顔を見てみる。
参考書を、見ながら勉強しているのか、オレの視線には気が付かないようだった。
「……なんだよ。さっきから」
「……いや、べつに」
斎藤はシャーペンを動かしながら、一言そう言った。
だけど、オレの方は向かず、ノートに視線を落としている。
「………おまえさ」
突然、斎藤がオレに話しかけてくる。
「なんだよ?」
「……佐倉のこと、好きなの?」
「はっ?」
突然、斎藤はそう言うと、シャーペンをノートの上に置き、オレに視線を向けた。