【完結】キスからはじまる恋。

Side大夢






斎藤がよく、図書室で参考書を借りていたのは前から知っていた。




だけどそれは、彩音の顔を見たいっていう、アイツの意思だって気がついたのは、彩音と付き合い始めてすぐくらいだった。




「…………」




スマホを見ながら、チラチラと隣に座る斎藤の顔を見てみる。
参考書を、見ながら勉強しているのか、オレの視線には気が付かないようだった。



「……なんだよ。さっきから」


「……いや、べつに」




斎藤はシャーペンを動かしながら、一言そう言った。
だけど、オレの方は向かず、ノートに視線を落としている。




「………おまえさ」



突然、斎藤がオレに話しかけてくる。




「なんだよ?」


「……佐倉のこと、好きなの?」


「はっ?」




突然、斎藤はそう言うと、シャーペンをノートの上に置き、オレに視線を向けた。



< 49 / 129 >

この作品をシェア

pagetop