初恋
2
以前こんなことがあった。
先々週の日曜日。ぼくは駅前に新しくオープンした本屋に行ってみた。
そこで、あいつと会った。
藤富千夏。
会ったっていうのは少し違うか。
週刊マンガ雑誌を立ち読みしているあいつを見つけた、だ。
気がつくと隠れていたぼく。
そんなとこにいられたら、ぼくが本買えないじゃないか!
「え・・・・・・なんで?」
降ってわいた疑問に自分で首をかしげた。
なんで本を買えないんだ。
普通に下に積んである別の本をとればいいじゃないか。
「あれ、柴田くん?」
隠れていた柱の陰から出たところでバッタリ。
「ふ、藤富」
どもった。
声も震えてた気がする。
気のせいであってほしい。
藤富千夏の顔を見るとなぜか焦ってそわそわしてしまう。
背中に冷たい汗が流れる。
僕は思わず目線を逸らす。
藤富の持ってる雑誌がちょうど目に入った。
「おまえ…それ、買うの?……女のくせにさ。だから男みたいなんだよ」
「は?なにいきなり……意味わかんない!わたしがなに読もうと勝手でしょ!」
ぷいとそっぽを向いてさっさと行ってしまう藤富千夏。
たしかに、意味わかんないよ。
自分でもなんでそんなこと口走ったのか。
だって、
藤富千夏と話したことなんて、数えるほどしかないのに。
先々週の日曜日。ぼくは駅前に新しくオープンした本屋に行ってみた。
そこで、あいつと会った。
藤富千夏。
会ったっていうのは少し違うか。
週刊マンガ雑誌を立ち読みしているあいつを見つけた、だ。
気がつくと隠れていたぼく。
そんなとこにいられたら、ぼくが本買えないじゃないか!
「え・・・・・・なんで?」
降ってわいた疑問に自分で首をかしげた。
なんで本を買えないんだ。
普通に下に積んである別の本をとればいいじゃないか。
「あれ、柴田くん?」
隠れていた柱の陰から出たところでバッタリ。
「ふ、藤富」
どもった。
声も震えてた気がする。
気のせいであってほしい。
藤富千夏の顔を見るとなぜか焦ってそわそわしてしまう。
背中に冷たい汗が流れる。
僕は思わず目線を逸らす。
藤富の持ってる雑誌がちょうど目に入った。
「おまえ…それ、買うの?……女のくせにさ。だから男みたいなんだよ」
「は?なにいきなり……意味わかんない!わたしがなに読もうと勝手でしょ!」
ぷいとそっぽを向いてさっさと行ってしまう藤富千夏。
たしかに、意味わかんないよ。
自分でもなんでそんなこと口走ったのか。
だって、
藤富千夏と話したことなんて、数えるほどしかないのに。