初恋

8

「変じゃない。恋だ!」

そう一喝したのは、ぼくの親友、小澤慧(おざわけい)。


こい……?


鯉?
故意?
濃い?
来い?



……恋?


「字は似てるけど、全く別物だな!恋は名詞で、変は・・・形容動詞だな」

「名詞・・・形容・・・・・・動詞?なに?」

「おいおい、今日の授業でならっただろ。大丈夫かぁ?」

笑いながらぼくの背中をバンバンと叩く小澤。

 

恋。


そうか恋。


小澤の言ってることは意味不明だったが、恋はわかる。


ぼくは藤富千夏に、恋をしてるのか。


つまり、ぼくは藤富千夏のことが好きってこと。



好き・・・なのか?


なんで?


たいして話したこともないし、一緒に遊んだことなんか一度もない。



趣味が合うわけでもなければ、特別優しくされたこともない。

唯一の接点は隣の席ということだけ・・・



わからない・・・




恋ってなんだ?





 
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