チョコケーキ戦争
*
そして次の日。
外へ出て、紘哉は呆然とした。
まだ開店前だと言うのに、ハミッシュの前には行列ができていた。
「嘘だ……」
いつもなら人があまりいないことで有名なハミッシュ。
こんな光景は、二度と見ることができないだろう。
最後尾を確認し、並ぶ。
店の入り口が、遥か彼方に感じる。
こんなようで、果たしてケーキにありつくことが出来るのだろうか……謎である。
「おや、貴方もケーキを食べに?」
突然、前に並んでいた老人が振り向いて話し掛けてきた。
戸惑いながらも、彼は頷く。
「やはりそうですか。前にも一回だけやったことがあるのですが……あの味が忘れられなくて」