チョコケーキ戦争



そして次の日。
外へ出て、紘哉は呆然とした。

まだ開店前だと言うのに、ハミッシュの前には行列ができていた。

「嘘だ……」

いつもなら人があまりいないことで有名なハミッシュ。
こんな光景は、二度と見ることができないだろう。

最後尾を確認し、並ぶ。
店の入り口が、遥か彼方に感じる。

こんなようで、果たしてケーキにありつくことが出来るのだろうか……謎である。

「おや、貴方もケーキを食べに?」

突然、前に並んでいた老人が振り向いて話し掛けてきた。
戸惑いながらも、彼は頷く。

「やはりそうですか。前にも一回だけやったことがあるのですが……あの味が忘れられなくて」

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