めいどのバツ


妻はテーブルに座り、ずっと時計とにらめっこしていた。

『やだ……まだ帰って来ない……どうしよう……本当に死ぬ気なんだわ……』

妻は青ざめて立ち上がると受話器を手に取った。

「もしもし!あのっあのっ!主人が帰って来ないんです!ケンカして……冥土に行くって飛び出して!自殺してるかもしれないんです!ああ……どうしよう!!私が追い詰めたんです!!」

妻は冷たい受話器を固く握り締めながら、震える声で警察官に促されて住所を言い、膝から崩れ落ちた。




その頃、夫も
「もうダメだ……」
と膝から崩れ落ちていた。



「やったー☆」

メイドさんの若くて可愛い手を固く握り締めながらのにらめっこに負けて――


「はい☆罰ゲームぅっ☆」

「は~い」

夫は喜んで罰を受ける。



帰宅した彼が冥土に行きたくなるほどの……

そら恐ろしいバツが待っているのを知らずに……。



(完)

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