純白の君へ
「ふぅ…」
「空ちゃん、もう仕事おわってもいいわよ」
夜の7時半、勤め先の花屋さんのおばさんが声をかけてくれた。
店先の掃除をしていた私はふと空を見上げた。4月とはいえ、夜の7時半になると空は真っ暗で、店の前にある桜もいつの間にか散りはじめていた。
「もう一年になるんだなぁ…」
一年前のこの季節、私はこの花屋さんで働き始めた。高校を卒業して、大学に入った私だったが特にしたいことも見つからずいつもふらふらいていたのだ
そんなときに出逢ったのがここの花屋さんだった。