純白の君へ
誕生花


少し外が蒸し暑くなってきた頃…
いつもの常連のお客様とお話しをしていると、いつものように彼はお店にやってきました。

今日も数本のお花を買うと、私の方に歩み寄ってきました。

しかし、何だか今日の彼は焦っているようでした。


……どうしたんだろう?


「そんなに焦ってどうしたんですか?三浦さん?」


「どうして教えてくれなかったんですか…明日が誕生日だって……」

明日は、私の誕生日なのだ…

「どうしてって…聞かれなかったものですから……」

と答えると、彼はばつが悪そうに頭をぐしゃぐしゃにかいて、言葉を探していた。



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