純白の君へ
彼は次の日もお店にやって来た。私は昨日の彼の笑顔を思い出すと彼を直視できずににいた。
それから話をすることもなく2週間がすぎた。いまだに彼は毎日お店に通っている。
おばさんがお友達と温泉旅行にいき、私しかお店にいなかった日のこと、毎日数本の花を買っていく彼が今日は何も買わずに私のほうに向かってきた。
「…これ、もらってください」
彼が私に差し出してきたものはハナミズキの花だった。
「…ありがとうございます。このハナミズキどうしたんですか?」
「家の近くにハナミズキの木があるので…花の部分だけ持ってきました。」
いきなりどうしたんだろう…けれど私はハナミズキの花をみながらなんだか、ホッとするようなふしぎな気持ちに浸っていた。