不遜な蜜月
過ち×結果
甘い香りに交じり合う、微かな煙草の匂い。
それと―――。
「キス、好きなのか?」
「・・・・・・どう、して?」
ホテルの部屋は薄暗い。
スタンドライトから放たれるオレンジ色の明かりが、男の端正な顔立ちを浮かび上がらせていた。
陰影を帯びたその顔には、女顔負けの“艶”を感じさせる。
「俺は好きだな。君とのキス―――」
「ん・・・・・・」
唇を指でなぞり、優しく互いの唇を重ねる。
何度も繰り返したキスで、唇が腫れぼったくなったような気がするが、確かめるための鏡は手元にない。
「・・・・・・この匂い、好き」
首筋に鼻を擦り寄せると、煙草ではない別の香りに頬が緩む。
汗の匂いじゃない。
香水、だろうか?
爽やかさの後に、苦い甘さが鼻腔を通り抜けていく。
あぁ、頭が痛い―――。
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