不遜な蜜月
「あ、はい。おかげさまで」
理人の顔を見れば、何となく、緊張しているようにも見えるが。
実際はどうなのか、真緒にはわからない。
「答えを急かすつもりはない。だから―――」
「聞きたいことがあるんですっ」
理人の言葉を遮り、真緒が声を上げる。
一瞬、理人は驚いたように目を見開いたが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「答えられる範囲なら、構わない」
その答えに安堵して、真緒は肩から力を抜く。
「仕事は、今まで通り続けられるんでしょうか? その、結婚後も」
「望むならな。まぁ、ある程度したら、産休でも取ってもらうことになるが」
それは、真緒もわかっている。
それに多分、産休ではなく辞めるかもしれないが。
「私の両親に、挨拶ってしてもらえるんでしょうか?」
「当たり前のことを聞くな。きちんと会いに行く」
「そうですか・・・・・・そうですよね」
常識がないと思っているわけではないのだが、少し不安になったんだ。