不遜な蜜月

「・・・・・・決まったのか?」


真緒は、真っ直ぐに理人を見据える。


「結婚、します」


迷うことなく、視線も逸らさず、真緒は答えた。


理人は安堵したような、そんな表情を浮かべたように見える。


「・・・・・・ありがとう」


呟いた言葉は小さく、真緒に聞こえたかはわからない。

それでも、告げておきたかった。


「利用するわけじゃありません」


忘れてはいけない、と真緒は再び口を開く。


「そりゃ、金銭的な面で頼ってしまうと思いますが。私は私の意志で、結婚するんです。利用するためじゃ・・・・・・ありません」


自分のことを愛してなんて言わない。

けれど、子供のことは愛してほしいと思う。


「・・・・・・そうか」


理人は苦笑して、ソファーから腰を上げる。


「ご両親の挨拶は、なるべく早い方がいいな。うちは・・・・・・後回しで構わないから」


スケジュールを確認しようとデスクへ向かうが、一臣に聞いた方が早いと、内線に手を伸ばす。


「工藤を呼んでくれ」


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