不遜な蜜月

慣れない気遣いを見せる理人の顔を見た瞬間、笑ってしまいそうになった。

不器用な人、なのかもしれない。


「あ、姉さんに連絡・・・・・・何て言おう」


ひとりで産むと決めて、今度は結婚することになった。

姉は何と言えばいいのか。


(怒られる? 呆れるかな?)


だが、姉だけではなく両親にも言わないといけない。

その後には、理人の両親にも。


「あれ? 社長のご両親って・・・・・・」


会長は祖父だが、父親の話は聞いたことがない。


「・・・・・・そのうち、わかるわよね」


今は、深く考えないでおこう。


真緒は、姉にどんなメールを送ればいいのか、エレベーターが止まるまで、ずっと考えていた。





「社長。コーヒーを入れ直しましょうか?」


社長室に戻ってすぐ、待っていました、と言わんばかりに、玲奈が上機嫌でやって来た。


「いらん」

「じゃあ、本日の会食の確認を」

「・・・・・・はぁ」


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