不遜な蜜月
理人はため息をつき、書類をデスクに置く。
聞きたくてウズウズしてるのが、考えなくてもわかる。
だが、話すわけにはいかない。
真緒と結婚すると知れば、玲奈は喜ぶだろう。
それはいい。
問題は、喜んだ玲奈が真緒に近づいて、あれやこれやと余計なことを言わないか、ということだ。
理人のマイナスになるようなことを言わなかったにしても、真緒がそれをどう捉えるかまではわからない。
結婚しない、と言われたくはない。
(無視だ、無視)
そう心に決めて、時計を見る。
「青山。工藤を呼んでくれ」
「はい」
不満げな玲奈だが、仕事に私情は持ち込まない。
「とは言え、まだまだ問題は山積みだな」
真緒の両親への挨拶が済めば、次は祖父母に真緒を紹介しなくてはならない。
結婚すれば、当然ながら一緒に住むわけで、新居を探すのか、とかいろいろ考えることもある。
(いや。それよりも、まずは・・・・・・)
「社長?」