不遜な蜜月

理人はため息をつき、書類をデスクに置く。

聞きたくてウズウズしてるのが、考えなくてもわかる。

だが、話すわけにはいかない。


真緒と結婚すると知れば、玲奈は喜ぶだろう。

それはいい。

問題は、喜んだ玲奈が真緒に近づいて、あれやこれやと余計なことを言わないか、ということだ。

理人のマイナスになるようなことを言わなかったにしても、真緒がそれをどう捉えるかまではわからない。

結婚しない、と言われたくはない。


(無視だ、無視)


そう心に決めて、時計を見る。


「青山。工藤を呼んでくれ」

「はい」


不満げな玲奈だが、仕事に私情は持ち込まない。


「とは言え、まだまだ問題は山積みだな」


真緒の両親への挨拶が済めば、次は祖父母に真緒を紹介しなくてはならない。

結婚すれば、当然ながら一緒に住むわけで、新居を探すのか、とかいろいろ考えることもある。


(いや。それよりも、まずは・・・・・・)

「社長?」


< 132 / 355 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop