不遜な蜜月

一臣が、窺うように理人を呼ぶ。


「あ、あぁ。今日の予定を確認しようと思ってな」

「わかりました。・・・・・・プライベートなことをお聞きしても?」

「内容によるな」


書類を一臣に渡し、パソコンを開く。


「梶谷 美紗、どうするつもりで?」

「―――切る」


理人は即答し、一臣を見据えた。


「元々、付き合ってるわけじゃないが。どんな理由であれ、結婚するんだ。操は守る」

「安心しました。お聞きしたかったのは、それだけです」


一臣は一礼してから、スケジュール確認のために手帳を取り出す。


「今夜、香坂さんとお会いになりたいですか?」

「空いてないのか?」


一臣は小さく頷き、理人は肩を落とす。


「なるべく早く、話したい。今夜が無理でも、できるだけ早く、な」

「承知しています。明日以降のスケジュールを調整して、なんとか時間を作ります」

「頼む」


頼りになる秘書だと、今更ながらに思う。


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