不遜な蜜月
理人はパソコンに視線を戻し、仕事に集中することにした。
「結婚することに決めた!?」
「声が大きいわ、彩子!」
資料室で、誰にも聞かれていないか確かめる真緒。
幸い、誰もいないようだ。
「ごめん・・・・・・。でも、昨日の今日で、随分早く決めたのね」
もう少し悩むのかと思っていたので、彩子は驚いた。
「いろいろ考えたのよ、ちゃんと。それで、私の子でもあるけど、社長の子でもあるから」
「・・・・・・迷いがないなら、いいわ。けど、結婚かぁ」
祝うべきだとわかっているが、手放しで喜べないのが悲しい。
「今すぐ結婚するの?」
「まだ何も。社長に結婚する、って伝えただけだから」
真緒はメモ用紙を取り出し、必要な資料を探す。
これが終われば、お昼ご飯だ。
「そっか。まだ仕事は辞めないのよね?」
「うん。ギリギリまで働こうと思ってる」