不遜な蜜月
彩子の問いに、真緒は曖昧に頷いた。
「人気よね、一ノ瀬さん」
それ以上、追求する気にならなかったのか、彩子の話はお昼ご飯へと変わる。
「妊娠中だから・・・・・・。あ、つわりは大丈夫なの?」
「今のところは、大丈夫」
彩子は嬉しそうに笑うと、再びお昼ご飯に思いを馳せる。
「あ、工藤さん・・・・・・」
見知った人物を見つけて、真緒は会釈する。
彩子も気づいたようで、小さく肩を落とした。
「どうかしましたか?」
「社長からの伝言を伝えに。今夜は予定があるので、後日改めて、と」
「そうですか。わかりました」
社長だから、忙しいのは当たり前だ。
それに、姉に連絡することに集中できて、助かる。
「では、失礼します」
一臣は礼儀正しく一礼してから、立ち去る。
「・・・・・・気になったんだけど、社長とのことは秘密、なのよね?」