不遜な蜜月
真緒は頷き、目を伏せる。
いずれ公になることになるだろうが、それを決めるのは真緒ではない。
「前向きに考えましょ。ね?」
「そう、だね」
彩子の言う通りだ。
結婚すると、自分で決めたじゃないか。
だから、前向きに考えよう。
「男の子かな? 私は女の子がいいなぁ」
真緒の気持ちを明るくしようとしてくれているのかもしれない。
そんな彩子に心の中で感謝しながら、ふたりは歩き出した。
―――社長室。
目を通し終えたファイルを閉じ、また新しいファイルを手に取る。
チラッと時計を見て、帰宅しようかどうか悩む。
(だが今は、なるべく仕事は片付けておきたい)
真緒の両親への挨拶もあるが、他にも決めなければならないことがある。
そちらに集中するためには、ある程度、仕事は片付けておくべきだろう。