不遜な蜜月
「・・・・・・ありがとう」
「・・・・・・」
どういう返事をすればいいのか、真緒にはわからなくて、結局、何も言えないまま。
ただ、理人が少なくとも子どもに興味がないわけじゃない、ということはわかって良かった。
「その、言いにくいんだが・・・・・・」
「はい?」
コホン、と理人がひとつ咳ばらいをする。
「その・・・・・・どっちが頭だ?」
「・・・・・・ふふっ」
「仕方がないだろう。こういう写真を見るのは、初めてなんだ」
「いえ、すみません」
笑った手前言いにくいが、真緒も初めて見た時、松前先生に聞いてしまった。
どっちが頭ですか? と。
「その写真、社長にあげます」
「いいのか?」
「はい。ご両親にも、見せてさしあげた方が」
「・・・・・・言っていなかった、か」
理人は写真を見つめて、小さく笑う。