不遜な蜜月
他人の気持ちのすべてを理解しようなんて、無理な話だ。
受け入れようとしても、許容量というものがある。
だから、寄り添うくらいの優しさでいい。
「・・・・・・っ」
触れ合うだけのキスに、頬がいやに熱い。
暖房が効き過ぎてる。
きっとそうだ。
「しゃ、社長?」
理人の唇が、顎からその下、首筋に移動して、真緒はビクリと体を震わせた。
「大丈夫だから。少しだけ・・・・・・我慢して」
「え? ・・・・・・っ」
鎖骨のあたりを、強く吸われた。
少し痛いくらいの強さに、真緒は戸惑ってしまう。
「・・・・・・」
理人が離れて、ようやく真緒は安堵の息をつけた。
どうやら、自分は息を止めていたらしい。
呼吸がちょっと、速い。
「部屋まで送るか?」
「だ、大丈夫です」