不遜な蜜月
―――社長室。
ファイルを開き、ふと父親のことを思い出していた。
理人の父は、厳しい祖父に育てられたせいなのか、自分にも他人にも厳しい人だった。
笑った顔なんて、滅多に見れない。
いつも仕事に追われ、帰ってくるのは深夜を回り、日本だけでなく海外も飛び回るほどの多忙さだった。
そんな父は、数々の新事業を起こし、成功をおさめている。
黒崎グループは家具メーカーとして有名だが、それ以外の事業も積極的に行っている。
(・・・・・・今になって、あの人を思い出すとはな)
ファイルに記されているのは、父が始めたプロジェクト内容。
元々、黒崎グループは高級感のある家具をメインに扱う、いわば富裕層向けのブランド。
今でも、高級ホテルのインテリアデザインなどを引き受けたりしている。
それとは別に、父は様々な新事業を展開させた。
リーズナブルな家具ブランドの立ち上げ。