不遜な蜜月
朝起きたら、隣には知らない男性。
そんなドラマや漫画のありきたりだが、現実に起きたら驚愕せずにはいられない状況が、自分の身に起きるとは、思ってもいなかった。
自慢にもならないが、23年という人生は、至って平々凡々な―――香坂 真緒。
それなのに、この状況は少々、いやかなり、衝撃的すぎる。
(頭痛い・・・・・・昨日は確かに飲み過ぎた。飲み過ぎたけど・・・・・・)
「う・・・・・・ん・・・・・・」
「!」
男性が寝返りを打ち、真緒は慌てて息を潜める。
今ここで起きられたら、冷静に対応できる自信はない。
(と、とりあえず服を着ないとっ)
ゆっくりと、音を立てないよう細心の注意をし、真緒はベッドを下りた。
床に散らばる自分の服と相手の服が、生々しさを倍増させる。
(カバン、私のカバン・・・・・・あった。あ、ホテル代)
ゴソゴソとカバンから財布を取り出し、お金を枕元に置いておく。