不遜な蜜月
男性だし、誠は優しいから、相談してみたい気持ちに駆られた。
もし、好きでもない女性が自分の子を妊娠したら、とか。
自分は嘘が苦手だから、話した瞬間、バレてしまうだろう。
けれど、誠は面白半分に茶化したり、言い触らしたりしないと思う。
でも、口を閉ざすことにした。
「私、帰りますね」
「あ、途中まで送るよ」
「だ、大丈夫です!」
慌てて真緒は首を振る。
送迎の車が、実はカフェ近くで待ってくれているのだ。
そんな場面を見られたら、怪しまれてしまう。
「でも、もう暗いし」
「ほ、ホントに大丈夫ですから。ありがとうございます。それじゃ、私はこれでっ」
早口でまくし立て、真緒は急いでカフェから飛び出す。
誠が心配するような目で見ていたことに、多少の罪悪感を感じたが、今は気にしないことにした。