不遜な蜜月
一夜の過ちが、こんな結果になるなんて―――。
「相手は・・・・・・あの人?」
一度は別人だと否定したが、こうなると更に最悪の考えが浮かぶわけで。
「もしも社長だったら・・・・・・あ、ありえないわ!」
自分の考えに、真緒は首を振る。
今はそれよりも、考えなきゃいけないことがある。
産むのか、産まないのか。
(私ひとりで、育てるの?)
望んだ妊娠ではないが、自分の子が、お腹にいる。
実感は湧かないが、そっとお腹に手を当ててみる。
「私の・・・・・・赤ちゃん」
決断は早い方がいい。
わかっていても、勇気が出ない。
ひとりで産むという勇気も、産まないという勇気も。
簡単に決めれる問題ではない。
けれど、ずるずると先延ばしにしていい問題でもない。
真緒は結局、その日の内に答えを出せなかった。