不遜な蜜月

―――・・・・・・。

玲奈は自宅のマンションで、母親が作り置きしてくれた切り干し大根を皿に取り出していた。

料理は苦手じゃないけど、やっぱり母親の味が恋しくなる時がある。

だから、こうして作り置きしてくれるのは助かる。

助かる、のだが―――。


「余計なものまで置いていって」


紙袋に入れられた、数冊の見合い写真を、軽く足で蹴る。

花嫁姿が見たいだの、孫が見たいだの言ってるが、要は自分がさっさと安心したいんだろう、あの人は。


(ま、最近は女性も結婚が遅いって聞くし)


玲奈のように一流企業の秘書課で働いていれば、仕事ができてお金もあるということで、婚期が遅くなるのかもしれない。

母親が不安になる気持ちも、わからなくはない・・・・・・気がする。


「っと、電話か。はい、青山です。・・・・・・なんだ、兄さんか」


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