不遜な蜜月
返事がない。
声が小さすぎただろうか?
「社長? あ・・・・・・寝て、る?」
肩を軽く叩いてみたら、ガクンと理人の体が倒れそうになる。
前へ回って見てみれば、理人は小さな寝息をたてていた。
「えっと・・・・・・」
ベッドに運べるわけもないし、真緒は申し訳ないと思いつつ、理人の体を揺する。
「社長、ベッドで寝ましょう? 風邪引きますよ」
「ん・・・・・・。うん・・・・・・」
瞼が開いて、また閉じた。
テーブルには飲みかけのお酒と、開いたままのノートパソコン。
真緒が何度か声をかけ、ようやく理人は起きてくれた。
といっても、意識はハッキリしていないらしく、視線が頼りなく揺れている。
「香、坂・・・・・・? なんでいるんだ?」
「工藤さんに頼まれたんです。社長、ベッドで寝ましょう?」