不遜な蜜月
雑誌をまた開いて、ペラペラと意味もなくめくってみる。
「・・・・・・」
ひとりになると、嫌なことばかり考えてしまう。
理人にはもっと、お似合いの相手がいて、自分は身を引いた方がいいんじゃないだろうか、と。
「私じゃなくても・・・・・・」
もし仮に、妊娠したのが美紗だったら。
理人は美紗と結婚したのだろうか?
「・・・・・・っ」
少し気持ち悪さを感じて、真緒は考えを頭から追い出す。
―――コンコン。
ノックの音に、真緒は慌てて返事をする。
入って来たのは、昨日とは違うけれど、やっぱりスーツ姿の理人だった。
「社長・・・・・・」
本当に来てくれた。
それが嬉しくて、つい頬が緩みそうになる。
「気分はどうだ?」
「へ、平気です」