不遜な蜜月
雑誌で顔を隠し、真緒は目を伏せる。
「明日、退院だったな。・・・・・・すまないな、明日は来れそうにない」
仕事を言い訳に使いたくないから、理人はそれを口にしない。
「いえ、気にしないでください。社長はお忙しいんですから」
真緒が慌てて笑顔を浮かべると、理人は申し訳なさそうに目を細めた。
「つわり、そんなにひどいのか?」
「・・・・・・」
倒れてしまった手前、大丈夫とは言えない。
けれど、心配をかけるわけにもいかなくて、真緒はうまい言葉を探す。
「そんなに辛いなら、仕事を辞めてもいいぞ」
「それは・・・・・・」
素直に頷けなくて、真緒は視線を泳がせる。
「すまない、トイレに行ってくる」
「あ、はい」
理人は上着やら何やらをベッドに置いて、病室から出ていく。