不遜な蜜月
「はぁ・・・・・・」
理人が来てくれたのは嬉しいが、やっぱり緊張してしまう。
何を話せばいいのか、さっぱり分からない。
「! あ、社長の携帯か。ビックリした」
理人が脱いだ上着の上に、無造作に投げられた携帯が置いてある。
「電話だったら、どうしよう・・・・・・あ」
心配になり、少し覗いて見たが、電話じゃなくてメールのようだった。
「梶谷 美紗・・・・・・」
表示された名前に、真緒は気分が沈み込む。
昨日のことが、脳裏に蘇る。
「病院のトイレは落ち着かないな」
戻ってきた理人に、真緒は視線を上げる。
「どうかしたか?」
「あ、いえ・・・・・・携帯が鳴ってましたよ」
真緒に言われ、理人は携帯を手に取り開く。
「・・・・・・悪いが、ちょっと電話してくる」
「はい」