不遜な蜜月
多分、見たのは美紗からのメール、だと思う。
「・・・・・・」
雑誌を開き、興味もない芸能ニュースの記事を隅から隅まで読んでみる。
「香坂、悪いんだが急用ができた。何かあれば、電話してくれ」
「・・・・・・はい」
コートを着る理人を見つめ、真緒はつい、口から漏れてしまった。
「梶谷さんに、会いに行くんですか?」
「・・・・・・え」
しまった、と後悔しても遅い。
ハッキリ口から出てしまったのだから。
「す、すみません。何でもないです」
「会ったのか? 美紗と」
「・・・・・・」
彼女を名前で呼んだ。
焦るような目で、見つめてくる。
「・・・・・・すみません」
きっと、知られたくなかったことなんだ。
真緒は泣きそうになる自分を励まし、笑顔を浮かべる。