不遜な蜜月
理人はリビングの扉を開けると、真緒の姿を探す。
「寝てる?」
ソファーで横になる真緒は、すやすやと安らかな寝息をたてていた。
その寝顔を見ていると、起こすのが可哀相に思えてしまう。
「後でいいか」
真緒を寝室のベッドまで運び、理人は再びリビングへ戻りネクタイを緩める。
「シャワー浴びるか」
真緒が起きるまでの間に、言うべきことをまとめておかないと。
理人はバスルームへ向かいながら、優しく微笑んでいた。
目を覚ませば、ソファーではなくベッドで眠っていた自分に気づく。
「社長・・・・・・」
月明かりの中、読書に耽る理人が視界に入り込む。
「すみません。社長が運んでくださったんですね」
起き上がり、髪が乱れていないか手で触って確かめる。