不遜な蜜月

理人はリビングの扉を開けると、真緒の姿を探す。


「寝てる?」


ソファーで横になる真緒は、すやすやと安らかな寝息をたてていた。

その寝顔を見ていると、起こすのが可哀相に思えてしまう。


「後でいいか」


真緒を寝室のベッドまで運び、理人は再びリビングへ戻りネクタイを緩める。


「シャワー浴びるか」


真緒が起きるまでの間に、言うべきことをまとめておかないと。

理人はバスルームへ向かいながら、優しく微笑んでいた。





目を覚ませば、ソファーではなくベッドで眠っていた自分に気づく。


「社長・・・・・・」


月明かりの中、読書に耽る理人が視界に入り込む。


「すみません。社長が運んでくださったんですね」


起き上がり、髪が乱れていないか手で触って確かめる。


< 353 / 355 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop