不遜な蜜月
「次は結婚指輪、だな」
「あ・・・・・・はい」
考えることはたくさんある。
入籍の日とか、結婚式のこととか。
「そういえば、名前どうしましょう」
「名前かぁ。お祖父さん達は好きにしていい、って言ってたな」
それは、真緒の両親も同じだった。
「まだ先ですけど」
「きっと、あっという間だよ」
「・・・・・・そうですね」
好きな人と過ごす日々は、本当にあっという間に過ぎていく。
とても大切な日々に、いずれはもうひとり、大切な我が子が増える。
「真緒、キスして」
「えっと・・・・・・は、はい」
自分からキスをするのは、まだ慣れない。
触れるだけのキスに、理人は嬉しそうに笑う。
少しだけ、愛されてる、って自惚れてもいいかな?
明日も明後日も、ずっとあなたとの蜜月に溺れていたい。
だから、もう一度―――。
「・・・・・・キスして」
あなたの匂いに包まれて、あの夜みたいにキスしてほしい。
今夜もきっと、蜜月―――。
【完】