不遜な蜜月

理人は立ち上がり、真緒の目の前に移動して、ゆっくりと腰を下ろした。


「君を呼んだ理由、大体は察しがついているだろう?」


威圧的な理人の雰囲気に、真緒は負けてしまいそう。

いつも遠くからしか見たことのない社長が目の前にいて、自分を見ている。

息が詰まる、そんな感じ。


「・・・・・・私、何かしましたでしょうか? 失礼ながら、社長とお会いしたことは―――」

「わかっているのに、わからないふりをするのは、時間の無駄だ」


その一言に、真緒は理解した。


あぁ、やはり―――社長だったんだ。


絶望するべきだろうか?

それとも、喜ぶべき?


正しい感情がわからぬまま、真緒は理人を見つめた。


「あの夜、のことですか?」

「それもある」

「もう一ヶ月も前のことです」


わざわざ今になって、呼び出さなくてもいいじゃないか。


「・・・・・・聞きたいことがあって、君を呼んだ」


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