不遜な蜜月
早く帰りたい。
早くこの場から立ち去りたい。
そんな真緒の気持ちを知ってか知らずか、理人は随分とゆっくり話す。
「―――妊娠、してるのか?」
「!」
これも予想外の出来事だ。
何故、そんな話を理人がするのだろう?
妊娠したことを話したのは、姉ひとり。
会社では、いつも通りに接してきた。
「いきなり・・・・・・なんですか?」
「イエスかノー。まずは、ハッキリ答えてもらおうか」
意図がわからない。
そんな振りをすることは、無駄のようだ。
「・・・・・・はい」
「そう、か」
理人はため息をつき、ソファーに深々と背を預けた。
「失礼を承知で聞くが、俺の子か?」
「! ・・・・・・はい」
真緒は、本来ならば一夜限りなんて事を、平然とやってのける性格ではない。
それを疑われたようで、泣きたくなる。
「・・・・・・」