不遜な蜜月
真緒は席を立ち、電車を降りた。
「真緒ちゃん、いらっしゃい〜!」
マンションの2階、姉達の部屋を訪れれば、遼太郎が笑顔で出迎えてくれた。
「こんにちは、遼くん」
遼太郎は父親似で、雰囲気がどこと無く柔らかい。
「いらっしゃい、真緒」
「お邪魔します。これ、お土産」
プリンの入った箱を菜緒に渡そうとしたが、遼太郎と目が合った。
「僕が持って行く!」
「じゃあ、遼くんにお願いするわね」
箱を両手でしっかりと持ち、遼太郎はキッチンへ向かう。
「お茶にしましょう。コーヒーと紅茶・・・・・・あとは麦茶とかしかないわねぇ」
遼太郎の後を追うように、菜緒もキッチンへ。
「先に座ってて」
「うん」
リビングは綺麗に整理整頓されていて、隅には遼太郎のおもちゃが置かれている。
「遼太郎、ジュース飲むなら真緒に持ってって」
「うん!」