不遜な蜜月
コップに入ったオレンジジュースを、遼太郎が笑顔で手渡す。
「ありがとう」
隣に座り、遼太郎は自分のジュースをゴクゴクと飲む。
「遼太郎。ゆっくり飲みなさい」
「うん!」
元気よく頷くが、コップの中身はほぼ無くなっている。
「ママ、お代わり!」
「ダメ。こっちを飲みなさい」
空っぽになった遼太郎のコップには、麦茶が注がれる。
「オレンジジュースがいいのに〜」
文句を言いながら、遼太郎は麦茶に口をつける。
「どうするか、決めたの?」
「あ、うん。・・・・・・産むことに、した」
「そう」
驚いた様子もなく、菜緒は落ち着いている。
「相手は?」
「・・・・・・ひとりで産むわ」
「・・・・・・」
それを聞くと、菜緒は遼太郎から真緒へと視線を移した。
「お父さん達には、話したの?」
「まだ。反対、されるよね?」
「そうね。結婚するなら、祝ってくれるだろうけど」