不遜な蜜月
遠慮のない一臣の言葉に、理人は眉間にシワを寄せる。
「会長が無理矢理に、だ」
『そうですか。・・・・・・香坂さんのことを話せば、すべて解決できますが』
妊娠しているのだから、跡継ぎの問題は解決。
しかも、結婚すれば見合いをしなくていいし、祖父母も喜ぶだろう。
「お前は、俺と彼女をそんなに結婚させたいのか?」
『社長も気に入っているでしょう、彼女を。でなければ、社員と知りながら関係を持つはずがありません』
「・・・・・・結婚までは話が飛びすぎだ」
他の女性より、興味を抱いたのは確かだ。
それが好意かどうかは別にしても。
『話してみてはいかがです? 彼女は真面目で勤勉。それに、きちんと芯があります』
「・・・・・・会長から連絡が来たら、しばらく予定が詰まっていると、言ってくれ。じゃあ、また明日」
ピッと電話を切り、理人はため息をつく。
一臣の提案は、理解できる。
だが、理人は受け入れられない。