哀しき血脈~紅い菊の伝説3~
確かに恵の言うとおりだった。
これまで起こった動物虐待事件と今回の死体遺棄事件との関連は今のところ見いだされていない。共通することは双方の現場が近い場所にあるという点と同じ曜日に行われているという二つの点だけだった。五芒星のルールに従っているのかは死体遺棄事件に関しては証明できていない。
しかし一方でそれが証明されるためには少なくとももう一人、犠牲者が必要になるということだった。
それを待つわけにはいかない。
小島にしても恵にしてもその点では一致していた。
「なあ嬢ちゃん、仮に嬢ちゃんの言うとおりだとして、犯人の見当はつくのかい?」
「少なくとも、犯人の潜伏している地域は絞れると思います」
恵は持っていたコーヒーを飲み干し紙コップを屑籠に投げ捨てた。紙コップは外れることなく屑籠に呑み込まれる。
「どういうことだ?」
「小島さん、あの五芒星の意味、わかりますか?」
恵の目が悪戯っぽく輝く。
「五芒星は神や悪魔を召喚することに使われます。あの場合逆位置ですから犯人は悪魔を召喚しようとしていることがわかります。そして一般的には召喚された悪魔は五芒星の中心に現れると思われていますが、実際は償還する術者が五芒星の中心にいます。つまり、五芒星は償還したものから身を守る結界の役目をなすのです」
「そうすると犯人は…」
「五芒星の中心にいるはずです」
恵の言うとおりだとするとこの情報はきわめて重要なものということが出来た。ただしこれは動物虐待の犯人と死体遺棄事件の犯人が同一であるという仮定に則った場合に有効なものだった。
現在のところ恵のいうことは動物虐待犯の居場所ということになる。従って小島達が動くことは出来なかった。
第二の事件は阻止したい、しかし小島達には手詰まりの状態だった。
二人は同じ思いに辿り着き暫く押し黙ってしまった。
その沈黙を小島が破った。
「そうか、あいつに捜査させればいいんだ」「?」
「三島の奴だよ。動物虐待の方の犯人を早く見つけさせるんだ。もし同じ犯人なら第二の犠牲者を出さなくてすむかもしれない」
小島はそう言うと胸ポケットから携帯電話を取りだして三島の番号を入力した。
これまで起こった動物虐待事件と今回の死体遺棄事件との関連は今のところ見いだされていない。共通することは双方の現場が近い場所にあるという点と同じ曜日に行われているという二つの点だけだった。五芒星のルールに従っているのかは死体遺棄事件に関しては証明できていない。
しかし一方でそれが証明されるためには少なくとももう一人、犠牲者が必要になるということだった。
それを待つわけにはいかない。
小島にしても恵にしてもその点では一致していた。
「なあ嬢ちゃん、仮に嬢ちゃんの言うとおりだとして、犯人の見当はつくのかい?」
「少なくとも、犯人の潜伏している地域は絞れると思います」
恵は持っていたコーヒーを飲み干し紙コップを屑籠に投げ捨てた。紙コップは外れることなく屑籠に呑み込まれる。
「どういうことだ?」
「小島さん、あの五芒星の意味、わかりますか?」
恵の目が悪戯っぽく輝く。
「五芒星は神や悪魔を召喚することに使われます。あの場合逆位置ですから犯人は悪魔を召喚しようとしていることがわかります。そして一般的には召喚された悪魔は五芒星の中心に現れると思われていますが、実際は償還する術者が五芒星の中心にいます。つまり、五芒星は償還したものから身を守る結界の役目をなすのです」
「そうすると犯人は…」
「五芒星の中心にいるはずです」
恵の言うとおりだとするとこの情報はきわめて重要なものということが出来た。ただしこれは動物虐待の犯人と死体遺棄事件の犯人が同一であるという仮定に則った場合に有効なものだった。
現在のところ恵のいうことは動物虐待犯の居場所ということになる。従って小島達が動くことは出来なかった。
第二の事件は阻止したい、しかし小島達には手詰まりの状態だった。
二人は同じ思いに辿り着き暫く押し黙ってしまった。
その沈黙を小島が破った。
「そうか、あいつに捜査させればいいんだ」「?」
「三島の奴だよ。動物虐待の方の犯人を早く見つけさせるんだ。もし同じ犯人なら第二の犠牲者を出さなくてすむかもしれない」
小島はそう言うと胸ポケットから携帯電話を取りだして三島の番号を入力した。