哀しき血脈~紅い菊の伝説3~
闇の中
五芒星の中心にある部屋の中、一人の男がパソコンの画面に見入っている。そこには河原で見つかった浅田美緒の画像が何枚も映し出されていた。手足を縛られ気丈にも男に敵意をむき出している顔、恐怖に震え命乞いをする顔、死に至り鬱血した顔、顔、顔…。
男はそれらの画像を満足げに見つめていた。
ついに自分は力を手に入れたのだ。
自分を見下してきた者達に復習が出来るほどの力を手に入れたのだ。
さぁ、ゲームを始めよう。
男は不気味に嗤った。
パソコンの脇の壁には何人もの人物の写真が貼り付けてあった。皆、彼を見下してきた者達だった。それらは明るく笑い、自らの生を楽しんでいた。その陰で消せることのない傷を負った者がいることなどまるで考えていないようだった。
男は一枚一枚の写真に映し出されている若い女性達に激しい憎悪の視線を投げた。彼女たちは男が力を持ったことをまだ知らない。知らないが故に無防備に生活をしている。だがそれももう終わった。逆位置の五芒星が完成した今、男に恐れるものはなかった。もうルールに縛られることもない。これからはこいつらの命を自由に出来る。こいつらをひれ伏させることが出来る。
男は写真に写った女性達の目を鋭い針で貫いていった。
その部屋の片隅に何か蠢くものがあった。
暗い部屋の中、ディスプレイの光に映し出されたそれは身体をくねらせていた。
長い髪、整った顔、豊かで若い胸、青白い肌。それは男が描く理想の女性像だった。
それが人間であったとしたなたならば、だ。
だが、それは人ではなかった。
上半身は理想的な女性像であったが、下半身は異なっていた。そこには太く長い蛇の胴体があった。
それは艶めかしい視線を男に送っていた。
「次はどの女にするんだ?」
それは男に近づいて言った。
艶めかしい視線が男の身体に絡みつく。
「そう焦るなよ、ラミア。今決めるから」
男はそれに向かって答えた。
男にラミアと呼ばれた『もの』は絡まり合った蛇の下半身を解いていく。熱い吐息を男の首もとに吹きかける。
男は一瞬恍惚の表情を見せて一枚の写真を摘み上げる。
「この娘でどうだ?」
男の差し出した写真をラミアは舐め回すように見つめた。実は力を持ったといっても男の自由に相手を襲うことまでは出来なかった。ラミアの好みに合わなければならなかった。そのために男はラミアに写真を見せたのだった。
「前の女より若いな…」
ラミアは満足そうに舌なめずりをした。それの唇の端から滴る唾液が写真の女を濡らしていく。
「いいだろう、気に入った」
ラミアは解いた下半身を再び絡め合わせ、鎌首を擡げるように女性の上半身を起こした。
「それでは捕らえてこよう」
そう言うとラミアの身体が闇に溶け込んでいった。
男はそれらの画像を満足げに見つめていた。
ついに自分は力を手に入れたのだ。
自分を見下してきた者達に復習が出来るほどの力を手に入れたのだ。
さぁ、ゲームを始めよう。
男は不気味に嗤った。
パソコンの脇の壁には何人もの人物の写真が貼り付けてあった。皆、彼を見下してきた者達だった。それらは明るく笑い、自らの生を楽しんでいた。その陰で消せることのない傷を負った者がいることなどまるで考えていないようだった。
男は一枚一枚の写真に映し出されている若い女性達に激しい憎悪の視線を投げた。彼女たちは男が力を持ったことをまだ知らない。知らないが故に無防備に生活をしている。だがそれももう終わった。逆位置の五芒星が完成した今、男に恐れるものはなかった。もうルールに縛られることもない。これからはこいつらの命を自由に出来る。こいつらをひれ伏させることが出来る。
男は写真に写った女性達の目を鋭い針で貫いていった。
その部屋の片隅に何か蠢くものがあった。
暗い部屋の中、ディスプレイの光に映し出されたそれは身体をくねらせていた。
長い髪、整った顔、豊かで若い胸、青白い肌。それは男が描く理想の女性像だった。
それが人間であったとしたなたならば、だ。
だが、それは人ではなかった。
上半身は理想的な女性像であったが、下半身は異なっていた。そこには太く長い蛇の胴体があった。
それは艶めかしい視線を男に送っていた。
「次はどの女にするんだ?」
それは男に近づいて言った。
艶めかしい視線が男の身体に絡みつく。
「そう焦るなよ、ラミア。今決めるから」
男はそれに向かって答えた。
男にラミアと呼ばれた『もの』は絡まり合った蛇の下半身を解いていく。熱い吐息を男の首もとに吹きかける。
男は一瞬恍惚の表情を見せて一枚の写真を摘み上げる。
「この娘でどうだ?」
男の差し出した写真をラミアは舐め回すように見つめた。実は力を持ったといっても男の自由に相手を襲うことまでは出来なかった。ラミアの好みに合わなければならなかった。そのために男はラミアに写真を見せたのだった。
「前の女より若いな…」
ラミアは満足そうに舌なめずりをした。それの唇の端から滴る唾液が写真の女を濡らしていく。
「いいだろう、気に入った」
ラミアは解いた下半身を再び絡め合わせ、鎌首を擡げるように女性の上半身を起こした。
「それでは捕らえてこよう」
そう言うとラミアの身体が闇に溶け込んでいった。