哀しき血脈~紅い菊の伝説3~
第四章
対決
取調室。
灰色の机を挟んで小島良と横尾雅也は対峙していた。結城恵は二人に背を向けてパソコンのキーボードに手を乗せている。しかし、恵が活躍することはなかった。何故なら二人はここに入ってくるなり黙り込んでいるからだった。
重苦しい空気が取調室を居心地の悪いものにしていく。三人の息遣いが聞こえてくる。
やがて痺れを切らしたように小島が口を開く。
「それで…、あれは何なんだ?」
小島はあの半人半蛇の化け物のことをいっていた。
だが横尾はただ笑っているだけで応えようとしなかった。
「答えてくれないかな?」
小島は身を乗り出す。
「知らない方がいいですよ。それに説明したところであなた方には理解できない」
「理解するか、しないかは、こちらが決めることだよ」
小島もまた笑って横尾の顔を見た。
「無理だと思いますよ。あなた方のしていることが無意味になってしまう。ところで先ほどお教えした電話番号に連絡つけてくれましたか?」
横尾の態度は全く動揺していない。
「ああ、係長に頼んである」
「そうですか、それじゃあ、そろそろかな?」
横尾の鼻歌が取調室に流れ始める。
小島はなおも食い下がる。
「お前さんは何故ベレッタなんていう拳銃を持っていたんだ?」
「それも知らない方がいい」
「あれが言っていた『狩人』とは何だ!」
小島の声が荒くなった。
そのとき、取調室のドアが開き、彼らの上司である太田昌義が小島に手招きをした。
それに従って近くに行った小島に太田は小声で言った。
「釈放だ…」
その言葉は小島にとって意外なものだった。
「どうしてですか?」
「上の方の命令だ。あいつはアンタッチャブルだ」
太田の悔しそうな声が小島の耳に入った。
「上の方って何処の」
「わからんよ。あいつは国に守られている」
二人はくつろいでいる横尾の後ろ姿をじっと見つめた。
灰色の机を挟んで小島良と横尾雅也は対峙していた。結城恵は二人に背を向けてパソコンのキーボードに手を乗せている。しかし、恵が活躍することはなかった。何故なら二人はここに入ってくるなり黙り込んでいるからだった。
重苦しい空気が取調室を居心地の悪いものにしていく。三人の息遣いが聞こえてくる。
やがて痺れを切らしたように小島が口を開く。
「それで…、あれは何なんだ?」
小島はあの半人半蛇の化け物のことをいっていた。
だが横尾はただ笑っているだけで応えようとしなかった。
「答えてくれないかな?」
小島は身を乗り出す。
「知らない方がいいですよ。それに説明したところであなた方には理解できない」
「理解するか、しないかは、こちらが決めることだよ」
小島もまた笑って横尾の顔を見た。
「無理だと思いますよ。あなた方のしていることが無意味になってしまう。ところで先ほどお教えした電話番号に連絡つけてくれましたか?」
横尾の態度は全く動揺していない。
「ああ、係長に頼んである」
「そうですか、それじゃあ、そろそろかな?」
横尾の鼻歌が取調室に流れ始める。
小島はなおも食い下がる。
「お前さんは何故ベレッタなんていう拳銃を持っていたんだ?」
「それも知らない方がいい」
「あれが言っていた『狩人』とは何だ!」
小島の声が荒くなった。
そのとき、取調室のドアが開き、彼らの上司である太田昌義が小島に手招きをした。
それに従って近くに行った小島に太田は小声で言った。
「釈放だ…」
その言葉は小島にとって意外なものだった。
「どうしてですか?」
「上の方の命令だ。あいつはアンタッチャブルだ」
太田の悔しそうな声が小島の耳に入った。
「上の方って何処の」
「わからんよ。あいつは国に守られている」
二人はくつろいでいる横尾の後ろ姿をじっと見つめた。