野獣な執事とワンコお嬢様
母に電話した日から、なんだか気持ちが軽くなった気がした。



それと同時に、ヒョウが足りない…。



もっと触れてもらいたくて、勉強をがんばる。



がんばって、がんばって…がんばり疲れた…。



「お嬢様、朝でございます」

「頭…痛い…」

「顔が赤いですが…熱を計りましょう」



夏風邪をひいてしまった…。



ヒョウが呼んだお医者さんがやってきて、診察の結果が風邪。



外も暑いのに、体も熱い…。



「死んじゃう~…」

「黙って寝てください」

「寝たら青柳、どっか行く…」

「心細いお気持ちはわかりますが、わたくしにも仕事がございますので」

「ヤダよぉ…。そばにいてよ…」



ここぞとばかりにワガママ言ってる…。



お兄ちゃんと雪乃さんがタマキさんを連れて旅行に行っちゃったし…。



ヒョウの仕事はいつもより多くなってるはずなのに。



困らせちゃダメだって、わかってるんだけどな…。



「ヒョウ…」

「青柳です、お嬢様」

「行ったら泣くから…」

「分からず屋のお嬢様なんか泣けばいい」



いつもより冷たい…。



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