野獣な執事とワンコお嬢様
ヒョウがいなくなったら、本当に泣くつもりはなかったのに、涙が溢れた。



好きって言いたい…。



言ったら、どんな顔をするの?



また困って『勘違いです、お嬢様』って言ったりするんでしょ?



そしたらあたし、もう生きていけないくらい落ち込むよ…。



「うぅぅぅ~…」



熱のせいか、全く止まる気配がない涙。



体もツラくて、全部がイヤになってくる。



「失礼しまっ!?お嬢様!?」

「うわぁぁぁぁんっ」

「いかがなされました!?どこか痛いとか!?」

「ヒョウがいないからっヤダっ!!」

「ワガママですか…」



そばにいてよ…。



どこにも行かないでよ…。



あたしのこと、どうしたら好きになってくれるの?



「わかんないっ!!」

「なにがです!?」

「ヒョウがわかんない…」

「何を知りたいんですか…」

「どうしてあたしの執事になったの!!」

「えっ?」

「毎日顔見なきゃいけないんだよ!?もうムリ!!」



何を言ってるのか、自分でもわからなくなってきた。



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