野獣な執事とワンコお嬢様
俺がここに来てから、初めて本当の笑顔を見た気がする。



「おいしいよ、ヒョウ!!」

「青柳です、お嬢様」

「青柳…」

「ちなみに、ここの問題間違えてます。それと、先ほどのレポートにも誤字が多々ありました」

「え゛っ…」



頭の悪さも健在だ。



これから、楽しくなりそうだな、琴音。



「青柳は…ここに来る前はどっかにいたの?」

「14歳で大学を卒業した後、父の元でお嬢様のお父上にお仕えしておりました」

「大学っ!?じゃあ高校になんて通わなくたって…」

「お嬢様が心配なのですよ。お父上もそうしろと仰っておりましたので」



ってのは建前。



俺が通いたいから行くんだ。



学校がどんなところか、よくわからないわけだし。



「お嬢様はご学友と遊びに行ったりはなさらないのですか?」

「あぁ~…、あたし友達いないから…」

「左様でございますか。わたくしも、友達という友達は今までできたことがありません。一緒ですね」

「寂しい者の傷の舐め合い…」



勉強しかしてこなかった気がする。



< 15 / 500 >

この作品をシェア

pagetop