野獣な執事とワンコお嬢様
片手が動かなくて、手首が痛い…。



イスに座ってあたし見てるその男。



背はヒョウと同じくらいで、たぶん日本人じゃない。



キレイなブロンドの髪と、整った顔に、眼がグリーン。



片手に銃を持ってるところを見ると、彼は本当にあたしを誘拐したんだろう。



「なにが目的なの…」

「誘拐って言ったらお金でしょ」

「だったらヒョウは関係ないじゃん!!傷…つけたの?」

「ムダに強かったから手加減できなくてね。あっ、メシ食う?」



ヒョウ…。



大丈夫かな…。



あたしなんかのせいでヒョウが…。



ううん、ヒョウはきっと助けに来てくれる。



なんでかわかんないけど、そんな気がする。



「パンと飲み物。食わなきゃ死んじゃうから、ちゃんと食ってもらわなきゃ」

「いらない」

「ダメだって。食わなきゃ体力もたない。交渉が長引いてるし」



交渉してるの?



警察と?



それともパパ?



お兄ちゃんかタマキさん?



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