野獣な執事とワンコお嬢様
強くなるため、弟になったアゲハと日々鍛錬。



おかげで強くはなったものの、俺の体の弱点を作ったのもコイツ。



どれだけ病院に世話になったか…。



そして、なぜか俺に懐いている。



「お前の慌てる顔は何度見てもおもしろいね」

「いい加減、やめてください。龍馬様」



呼ばれた琴音の父の部屋で、事件の一部始終を繰り返し見てるこの男が、俺の雇い主である、有栖川 龍馬。



おかげで肩と腕がまだ痛い。



「琴音の執事失格だよ、ヒョウ」

「わかってます」

「アゲハはがんばったね。お兄ちゃん、形無しじゃないか。うちのカワイイ娘を押し倒したのはマイナスポイントだ」



わかってるって。



こんなバカげた事をした意味も、何となくわかってる。



「認めてはくださらないんですね?」

「そうだと言えば、お前はどうする?」

「それで琴音が幸せになるなら、喜んで身を引かせていただきます」

「心にもないことを…」



俺を試したかったんだろう。



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