野獣な執事とワンコお嬢様
きっと何を言ったって、ヒョウの態度は変わらないだろう。



「支度はご自分でなさいますか?」

「うん…」

「では、食堂でお待ちしておりますね」



行かないで…。



お願いだから…前みたいに抱きしめてよ…。



部屋を出て行こうとするヒョウに、縋るように後ろから抱きついた。



「いかがなさいました?」

「もう…嫌いなの?」

「何を仰います。お嬢様を嫌う理由はありませんよ?お嬢様の執事ですから」

「もう一緒に寝ないの?キスとか…しないの?」

「欲求不満ですか?お嬢様のご命令ならばいくらでもお相手いたしますが」



それを聞いて、一気に襲った絶望感。



ヒョウじゃない。



もう…執事の青柳だ…。



「いいよ、もう…。今日、ご飯いらない。学校は車で行く」

「しかし朝食は召し上がっていただかなければ…」

「いらないって言ったの。執事なんでしょ?あたしの言葉は絶対」

「……かしこまりました、お嬢様」



なんか…どうでもいい。



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