野獣な執事とワンコお嬢様
慌てたヒョウが駆け寄って来た。



「お嬢様っ!!」



苦しいよ、ヒョウ…。



あたし、このまま死ぬの?



苦しすぎてどうにかなりそう…。



勝手に涙が溢れる。



次の瞬間、温かい感触…。



「大丈夫、落ち着いてゆっくり息をしてください」



抱きしめられてる…。



ムリだよ、ヒョウ。



頭がボーッとしてきた…。



「琴音、落ち着け」



えっ…?



今…『琴音』って呼んだ?



背中をさすってくれてるヒョウの手は、大きくて安心する…。



「大丈夫だから。ゆっくり呼吸できるよな?俺に合わせろ」



ヒョウの呼吸に…合わせる…。



耳元で聞こえるヒョウの呼吸に必死に合わせようとした。



しばらくすると治まってきた発作みたいなもの。



頭はまだボヤッとしてる…。



「できるじゃねぇか。苦しくなくなっただろ?」



頷くと、さらに強く抱きしめられ、頭を撫でてくれた。



夢でもいい。



あたし、死ぬならこうやってヒョウの腕の中で死にたい…。



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